‘’駅弁が存続危機‘’という新聞記事をみた。
全国のデパートやスーパーで定期的に開催される
駅弁フェアなんかはなかなかの盛況ぶりなのにな・・?
と思っていたが、
コロナの拡大で旅行や出張を控える動きが強まり
それに伴って、主要駅の売店も臨時休業を
余儀なくされているからだという。
有名人気駅弁なら、なんとか販路は確保できるとしても
そうでないものの生き残りは厳しいし、
どちらにしても、大幅な売り上げ減は避けられない。
記事には、
【駅弁需要はコンビニの台頭や車両の高速化などで
先細りしているうえ、
特に地方の業者は中小零細が多く、後継者不足に
悩むところもある】ともあった。
たしかに車両の高速化は顕著である。
時間の短縮化により仕事の効率や経費の削減に
寄与するなど利点は多いが、
ひと時の旅情を楽しんだり、駅弁を味わうささやかな
幸せな時間も失われた。
‘’狭い日本、そんなに急いでどこへ行く‘’
こんな言葉を思い出す。
私が小さい頃、もう半世紀以上前のことだ。
旅行だったか、よその町への引っ越しだったか
今はもう思い出せないが
家族の移動の多くは蒸気機関車だった。
今では考えられない直角で硬い座席、
細長い浮き輪みたいなものを通路側の木で出来たひじ掛けに通し、
枕代わりにして父が寝ていた姿も思い出す。
床も木製でそこに新聞紙を敷いて座ってた人もいた。
それだけ長時間の移動だったんだ。
鉄輪が枕木をリズミカルに叩く音も
あの印象的な汽笛も
吐き出すススの匂いも、
今も忘れてはいない。
スポンサーリンク
そして何より楽しみだったのはやはり駅弁だった。
子供にとって家の外で食べる食事は
それはそれはとても特別なことで贅沢なことだったんだ。
ある駅に到着すると、
父が座席の窓の左右のつまみを上に引き上げ
身を乗り出してホームの駅弁売りのおじさんから
買い求めた幕ノ内弁当、そしてプラスチック容器のお茶、
懐かしい思い出である。
味はもちろん覚えてはいないが、さぞかし楽しい時間で
あったであろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今、列車の窓など開けることは出来ないし、
ホームに駅弁売りのおじさんの姿もない。
そして今や自粛、自粛で、旅へは出かけられない状況である。
でも、駅弁は食べられる、
そうだ、駅弁が食べたい。
決めた!
鳥取駅に急いだ。
鳥取駅は閑散としていた
良かった!開いてました、
‘’元祖かに寿司‘’で有名な地元のお弁当屋さん
創業110年の老舗「アベ鳥取堂」さん。
買い求めたのは、定番‘’かに寿し‘’と
日本人が好きなおかずの最大公約数を形にした
私の大好きな‘’幕ノ内弁当‘’
本当は車窓から流れる美しい日本の景色を
眺めながら食べられたら最高なんだけどね・・
でも今は、自由に旅が出来る日を願いながら
自宅でゆっくりと味わうとしよう。
スポンサーリンク