あと2ホールを残して、
2位のT・ウィラチャン(タイ)に3打差付けて17アンダー。
またこの試合もマークセンのものか、
私に限らず、試合を見ている全員がそう思ったはずだ。
そう思わなかったとしたら、相当のアマノジャクか、
特殊なサイキック能力を持った御仁だろう。
コマツオープン
‘’勝負はゲタを履くまで分からない‘’というけど
絶対王者マークセンに限っては
それは当てはまらないと思った。
まして、最終18番はロング、
飛ばし屋のマークセンのバーディは堅いだろう。
負けるはずがない。
「この試合もオレのもの」
マークセン自身も勝利を信じて疑わなかったはずである。
しかし、予想だにしない悲劇は
ここから始まっていくのである。
17番:ティーイングエリアに立ったマークセンの
放った第一打は、強いフックがかかり
左のOBゾーンに打ち込んでしまった。
打ち直しの3打目は右に打ち出したが
斜面の深いラフ。
前上がりがきつい。フックが出やすい状況だ。
それを嫌ってフェースが返らないように
押し出した4打目はなんとシャンク、
無情にも右の林に消えた。
アマチュアもよくやる失敗である。
マークセンは冷静さを失い、
頭の中を整理できない様子であった。
打ち直しの6打目もグリーンに乗らず
寄せて1パットでスコアはダブルパーの8。
この時点で13アンダーに落ちたマークセンは
ラスト18番でバーディを奪取し、プレーオフまで
持ち込んだことは流石としか言いようがないが
一度失った流れをもう一度取り戻すことは
出来なかった。
勝利の女神は二度と振り向くことはなかったのである。
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優勝はプレーオフ1ホール目でバーディを奪った
T・ウィラチャンに輝いた。
嬉しいとも・・切ないとも・・
この状況をまだ受け入れられない
何とも複雑な表情で後輩プロを讃えたマークセンだった。
「上手の手から水が漏れる」
こんな古いことわざを思い出す。
勝負は最後の最後まで気を抜かない。
気を抜けば、いたずら好きが忍び込んでくる。
「私、失敗しないので」
ドクターXの米倉涼子みたいには
いかないんだ。
絶対王者マークセンが学んだ大きな教訓は
今後さらにマークセンを強くするだろう。
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