ライフスタイルの変化や、個人の嗜好の変化、
海外旅行ブームによって、旅行形態も、団体旅行から
グループ、個人へと移っていった・・(前々回の記事より)。
その流れの中で、団体客依存から脱却できなかったり、
時代、客のニーズの変化に応えられなかった大型旅館は、
バタバタと倒産していきます。
旅館は装置産業(最初に、大規模な投資を必要とし、固有の機械設備や規模の
大きな施設を要する産業)であり、又、労働集約的産業でもあるので
他の産業に比べて人件費比率も高い。
当然、経営者サイドの資質、センスの問題もあるでしょう。
そこに追い打ちをかけたのが、バブルの崩壊、そして
阪神淡路大震災でした。
集客を関西圏に頼る多くの温泉地が
入込客の激減で大打撃を受けたのです。
震災後、しばらくしてから片山津温泉を訪れたのですが、
多くの大型旅館の明かりと、人の姿の消えた通りは、
大袈裟ではなく、まるで、ゴーストタウンの様相でした。
特に、片山津は、男性客主体の温泉歓楽地として生きてきただけに、
ダブルパンチを受けたのです。
ほとんどの旅館の従業員も片山津を離れたせいで、多くの飲食店や
コンビニも廃業に追い込まれたといいます。
熱海温泉の凋落ぶりも、その当時
よくマスコミで報道されましたね。
これはまさにバブルの崩壊による影響でしょう。
そういった経緯から、廃業、倒産した旅館を買い取り、
再生する新しい運営スタイルを持つ企業グループや
旅館チェーンが続々と誕生しました。
大江戸温泉物語グループなどです、
あなたも一度は、訪れたことがあるのではないでしょうか?
多くが、異業種からの参入で、温泉旅館の既成概念に捉われない
運営スタイルが特徴です。
その特徴としては・・
①初期投資がかからない
②改装費を抑える
③省けるサービスは、徹底的に省く
④スケールメリットを最大限に活かす
以上を徹底することで、客室単価に還元することが出来るのです。
今後も、新たな視点による温泉旅館の再生ビジネスは
広がっていくと予想されます。
どちらにしても、これからさらに厳しい生き残りを賭けた
模索が続いていくでしょう。
多角化か、それとも専門化か・・
海外からの客の受け入れも視野に入れながら、料金を
含めたより質の高いサービス、客のニーズにきめ細かく対応できる
プランの設定、経営資質が求められます。
少子高齢化も急激に進んでいます、
パイは限られています。
以前のように新規の客を獲得することが難しい時代に
なっているんです。
生き残るには、一度、来られた客を、いかにリピーターになって頂くかに
かかっているといっても過言ではありません。
特典やサービスに関しても、どこの旅館も似たり寄ったりですし、
施設や料理面でも、なかなか差別化を図れない、
そこで、受け入れ側の接客、おもてなしがいかに
大切であるかということが認識され、
どの旅館もその教育に、力をいれるようになったんです。
人が旅館にやってくる目的は・・・
癒し、安らぎ、温もり、触れあい・・・
これは、いつの時代も変わらないはず。
おもてなしは、感動と余韻を与えること。
おもてなしの心は、
大切に守っていかなければならないですし、
その精神は次代にしっかりと
受け継がなければならないのです。