達人は、京都にいた。
所用で、三日間ほどの滞在でした。
ちょっとしたトラブルもあったが、
程なく解決し、時間ができたので、懐かしい
京の町をぶらりとしてみた。
底冷えする京都の冬。
比叡おろしの冷たい風が
町行く人の襟を立てている。
その凛とした冷たさが、町の明かりを、
一層、冴え冴えとしていた。
とにかく、あらゆる場所で、
多くの外国人ツーリストが目に付いた。
原色系のパーカーを着た東洋系の一団や、
大型キャリーバッグを引いた西洋人の
個人ツーリスト。
私が所用で、最初に訪れた、知恩院そばの
古くて狭い、人通りの少ない商店街でも、
アジア系の団体一行とすれ違ったくらいだ。
当然、人気の四条河原町から八坂神社への道は
外国人観光客で溢れかえり、様々な言語が
飛び交っていた。
花見小路の、灯ともし頃の美しさは、国籍に関係なく
誰もが認めるところだろう。
有名な甘味処には、長い行列が出来ていた。
ホテルのチェックインを済ませ、
もとの道を戻る。
京都に行くたび、顔を出す小さな店がある。
古い、いわゆる昔ながらの喫茶店だ。
近くには、お洒落な大型スタバや、タリーズ
もあるけれど、朝は、ここで、コーヒー2杯が
私の定番なのだ。
愛想のないマスターが淹れるサイフォンコーヒーが
何より、美味いし、ボクを落ち着かせる。
明日の朝が楽しみだ。
そして、もう一軒、行かなきゃいけないとこがある。
ここもなんの変哲もない、小さな店だ。
メニューも多くはないが、一品一品、納得の味、
いわゆる京のおばんざいである。
女将さんの「おいでやす」、「~で、よろしおすか?」
を、聞きたくてつい覘いてみたくなる店なのである。
店を出ると、雪がちらついていた。
西日本は大雪の予報、
京都の春は、まだしばらくお預けのようだ。
さあ、ホテルに帰ろう。
京都は、歩いて想う町だ。